事故物件には告知義務が定められており、事故物件に該当する不動産の売買や賃借時に告知を怠ると告知義務違反となります。
不動産に事故や事故後に修復した事実がある場合、その事実を隠したり偽ったりすることは違法となります。
もし告知を怠ったり、事故物件の事実を隠したりした場合はどうなるのかを見ていきましょう。
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事故物件の告知義務
日本の法律では、不動産売買において売主は事故歴やその他の重要な情報を誠実に告知する義務があります。
不動産の売主や貸主が、購入者や借主に対して物件に重大な「心理的瑕疵」(物件に住むことに心理的負担が生じる要因)があることは必ず知らせなければなりません。
これらは、売り手や貸主が思うよりも、買い手や賃借人にとっては不動産の価値に関わる重要な問題ですので、告知義務が定められているのです。
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事故物件の告知範囲
日本では、告知義務の範囲は明確ではありませんが、一般的に「心理的瑕疵(かし)」と呼ばれる、人がその物件に住むことをためらうような事故(自殺、殺人、事件など)が該当します。
ただし、事故が発生してから時間が経過し、問題が解決している場合は、告知義務が軽減されることもあります。
事故物件での告知義務違反は非常に重い問題であり、法的なトラブルや信頼関係の損失につながる可能性があるため、適切に対処することが重要です。
事故物件の告知のタイミング
物件を売却または賃貸する際に、事故の事実が確認できた時点で告知義務が発生します。
売買契約や賃貸借契約の締結前に、買主や借主に対して適切に説明することが求められます。
事故の詳細な説明は不必要ですが、心理的負担となる可能性がある事実、たとえば物件内での死亡事故などは正確に告知する必要があります。
事故物件の告知義務の期間
告知義務の明確な期間は法律で定められてはおりません。
そのため、
「事故が周囲に記憶され、心理的影響が残る限り」
という判断が一般的とされています。
事故物件の賃貸物件の場合はおおむね3年間が目安とされています。
対して、不動産を売買する時の期間としては概ね10年が一つの目安となることが多いですが、具体的な状況によって異なります。
これまでの事例だと、土地の売買でも25年前の事故の告知が問題となったケースもあるようです。
ケースバイケースということになってしまうので、事故物件の告知義務に関しては、慎重に判断する必要があり、この点は専門家と相談するのがいちばんいいと思います。
事故物件で告知義務で伝えなくてはならないこと
事故物件の売買する前には、そもそも事故物件でどこまで告知しなければならないのか、告知すべきこととはどのようなことがあるのかを知っておく必要があります。
事故物件の告知義務は、物件に住む人がその物件について「知っていれば契約をしなかった可能性があるような事実」を中心に告知することを指します。
事故物件の場合、事故となる内容について、その原因と共に詳しく告知が行われるべきです。
大きく分けて下の3つが該当します。
- 建物や敷地内で人が死亡した事故の原因と内容
- 火災やその他の事故が起こった場合の事故内容
- 過去に発生した重大な事件やトラブル
上記について詳しく見ていきます。
事故物件の告知の内容の具体
事故の内容は大きく下のように分けられます。
これらは普通に事故物件として一般的に知られている要因となります。
- 自殺
- 他殺・殺人
- 孤独死
- 自然死
自殺
物件内で自殺があった場合、これは典型的な告知事項です。
物件に住むことに対して心理的な不安を感じさせる可能性があるため、買主や借主に対して告知する義務があります。
他殺・殺人事件
物件内での殺人事件や他殺も、重要な告知事項です。
心理的瑕疵の中でも特に重いものとされ、不動産売買時には最も価格が低下する要因の一つとなります。
孤独死
孤独死の場合は、亡くなってからいつ発見されたかが重要な事実として告知義務が生じます。
高齢者などが物件内で亡くなり、その後長期間発見されなかった場合、腐敗や特殊清掃が必要だったケースなどは、心理的な負担となり得るため、こちらも告知が必要です。
自然死や病死
自然死や病死の場合でも、特に長期間発見されなかったり、著しく心理的な影響を与えると考えられる場合は告知が求められることがあります。
ただし、発生から長期間経過している場合や、心理的影響が軽減されたと考えられる場合には、告知義務が不要となることもあります。
火災や事故の事故物件の告知
火災や事故の事故物件に関しては、火災の起こった物件内で人が亡くなっていなくても、事故物件に入れられますので注意が必要です。
火災事故
物件で火災が発生し、その火災によって人が亡くなった場合や、物件が大きく損壊した場合には、これも告知義務が発生します。特に、修繕されても心理的な負担を与える可能性があるためです。
その他の事故
例えば、物件内で転落や感電などで亡くなった場合も、居住者に心理的負担を与える可能性があるため告知の対象となります。
過去に発生した重大な事件やトラブルの告知
いわゆる誰かが亡くなった事故だけでなく、周辺のトラブルも事故物件同様告知義務が発生します。
暴力団などの反社会的勢力が関与する事件
反社会的勢力が関連する事件が物件で発生していた場合、これも告知義務に該当します。
購入者や居住者にとって不安要因となるため、事前に知らせることが求められます。
大きな近隣トラブル
物件そのものではなくても、近隣で重大なトラブルがあった場合にも告知が必要なことがあります。
特に、そのトラブルが物件の利用に影響を与える場合には注意が必要です。
こちらについては、どのようなことが該当するのかを事前に不動産店などに確認をするのがおすすめです。
事故物件の告知義務違反をしたら
事故物件の告知義務違反とは、上記のような事実を物件の売買や賃貸の際に告知しなかった場合に生じます。
もし告知を怠った場合は法的および実務的な問題が発生します。
具体的にはどうなるのかを念のために確認してみましょう。
1. 契約解除のリスク
購入者や賃借人が、事故物件であることを告知されずに契約を結んだ場合、告知義務違反を理由に契約の解除を求めることができます。
特に、不動産売買や賃貸契約において、物件の価値や居住に関する重大な情報が隠されていた場合、契約自体が無効にされる可能性があります。
2. 損害賠償請求
告知義務違反が原因で、購入者や賃借人が損害を被った場合、損害賠償請求を行うことができます。
例えば、精神的苦痛や、物件の価値が大幅に下がった場合などが該当します。
3. 行政処分や罰金
不動産業者が告知義務を怠った場合、宅地建物取引業法に基づく行政処分を受ける可能性があります。
これには、業務停止や罰金、場合によっては業者登録の取り消しなどの重い処分が含まれることがあります。
なので、事故物件を売却したい際はまず不動産業者に正直に事実を話しておく必要があります。
また、万が一不動産業者が事実を隠している場合は上記のようなリスクが起きることも知っておくべきでしょう。
4. 信頼の喪失
事故物件の情報を隠した場合、個人や業者としての信頼が大きく損なわれる可能性があります。
不動産業界においては、信頼関係が非常に重要であり、違反が広く知られた場合、将来的なビジネスに悪影響を及ぼすことがあります。
5. 心理的負担やトラブルの長期化
物件の新しい所有者や居住者が事故物件であることを知った場合、心理的な不安やトラブルに発展することがあります。
告知義務違反により、居住者が退去を求めたり、賠償を求めて法廷での争いに発展するケースも少なくありません。
6. 裁判での問題
最悪の場合、裁判に発展し、法的に告知義務違反が認定された場合には、賠償や契約の解除が命じられます。
また、裁判所はこのようなケースでは、物件の過去の事例や当事者の行動を詳細に精査し、責任の所在を明確にします。
まとめ
事故物件の告知義務違反とは、
- 物件に重大な心理的影響を与える事実を適切に告知しなかった場合の違反を指す
- 自殺、他殺、孤独死、火災事故などは告知義務の対象となる
- 告知義務を怠ると、契約の解除や損害賠償のリスクがある
もし、事故物件の履歴がある不動産を売却したいという時は、これらを正直に伝えた上で、仲介での売却が可能かを確認する必要があります。
一般的に、自然死や孤独死などが事故の原因で、事故の発生から数日などの短期間で発見されており、建物への損傷が少ない場合は、「告知事故あり物件」として仲介で売りに出すことも可能です。
ただし、発見までにそれ以上の期間があったり、特殊清掃を依頼した、リフォームの履歴があるような物件の場合は、事故物件を買取する専門業者に買い取ってもらう方法で売却をする方がおすすめです。
専門の業者なら仲介での売却が可能かどうかも含めて様々な相談に乗ってもらえますので、まずはわからない点を含めて査定依頼のフォームから相談を進めてみてください。
もちろん、事故物件の専門業者なら、告知義務のある物件でも現況のままで買い取ってもらえますので安心して依頼ができます。
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