私が事故物件で亡くしたのは叔父でしたが、事故物件を売却したい方の多くは同様に亡くなった方が身内だと思われます。

単なる訳あり物件を売るというテクニカルな部分だけでなく、売却時には様々な感情が伴うため、いちばんたいへんなのがその部分でしょう。

私自身は叔父の孤独死にあった経験の他にも、それとは別の訳あり物件の売却を終えるまでに相続から10年の月日を費やしました。

不動産の苦労は並大抵のものではなかったため、それがブログを書くきっかけとなりました。

この記事では私の事故物件の体験談を記しておきますので、お読みになる方が「このブログを書いている人はどんな人なのかな」と疑問に思ったら、お目通しください。

当ブログでは事故物件に関する記述に、読む方の負担になるような記述がないように配慮していますので、どうぞ安心してお読みくださいね。

事故物件の体験

私の事故物件の体験談の事故の内容は、叔父が賃貸の部屋で突然孤独死をしたというものです。

ただし、叔父は具合が悪くなっても病院に行かず、誰にも連絡をせずにひとりでなくなりましたので、厳密には自然死とは違っていたようです。

私の場合は、以前につき合いがあったのは叔父の姉である母の方で、姪である私は20年以上前に会ったきり連絡を交わしたこともなかったので、責任を感じる立場ではないのですが、それでも叔父が亡くなったことはとてもショックでした。

また、叔父は一族の中でも不遇な立場にありましたので、それだけにかわいそうでならなかったものです。

事故物件の対処に当たる人は?

私の場合、叔父が亡くなったショックである心理的な負担よりも、一番大変だったのはその後の法律的な権限の方にありました。

きょうだいは3人いましたが、全員が叔父とは疎遠で、後処理ができるのが姪の私しかいなかったわけですが、直系親族ではないので様々な支障がありました。

悪いことに、賃貸の保証人であった女性がおり、本来なら未払いの家賃はその方が支払うはずでしたが、案の定拒絶されたので管理の不動産会社も私も大変困ることになりました。

相続の手続きが困難に

人,書類

さらに、困ったことに、叔父には離婚後に元妻が引き取った子どもがいたのでその子供が相続人になるはずなのですが、気が動転していたため誤って私の母が警察で相続人とされてしまったのです。

そのため、賃貸の部屋の未払いの家賃の交渉や、後始末とその費用、物品と遺骨の引き取りなどは本来相続人ではない人ではできないのですが、相続人以外の私がそれに当たるというところに問題が生じてしまったわけなのです。

※その時の詳しい記事は
孤独死の後始末と費用負担の注意点 誰がするべき?

大家さんとの話し合い

それでも叔父は私の身内には違いないので大家さんに謝罪の上で、物件を管理する不動産屋さんとも何度も交渉と話し合いを行いました。

持ち家ではないため売却の手続きはなかったのですが、賃貸物件だったので余計に大変なところがありました。

さらに相続人探しは不動産店には依頼ができませんでしたし、何より居住地が3県離れた遠方だったので、現地に行くのも他市で相続人を探す手続きをするのも簡単ではなく、何をするにも手探りの状態でした。

この時の経験から、思わぬ事故に遭ってショックを受けている時に、相談ができたり助けになってくれる人がいたらどんなにいいだろうと思いました。

相談先の詳しいことがわかったのは、事故物件の処分が終わってしばらくたってからのことでした。

事故後の助けになるサービス会社

叔父の孤独死からしばらくたって、事故物件の建物のケアや売却、その他の手続きも代行してくれる事故物件に関するサービスが一括ですべて依頼ができる事故物件専門の不動産会社があると後で知りました。

これらは訳あり物件の買取業者という不動産会社でした。

事故物件となってしまった家は通常の不動産とは違いますので、町の不動産屋はもちろん、仲の良い友達にしても身内にしても誰にでも相談できるわけではなく、相談できても対処法がわからないことがほとんどです。

訳あり物件の買取業者なら事故物件の売却だけでなく、それ以外のことも何でも相談できるというのは、物件の所有者にとってそれほど心強いことはありません。

事故物件で心が折れそうなときに助けてくれるところがあるのだということを、事故物件で困っている方々に紹介したいと思ったのがこのブログを書くきっかけとなりました。

事故物件を抱えて困っているかたへ

経験者として事故物件を抱えて困っている人に言いたいこと、シェアしたいことはたくさんあります。

高齢化社会と一人暮らしの増加から、事故物件はめずらしいものではなくなっています。

誰でもが事故物件の当事者になり得ますので、けっして特別なケースではないということです。

事故物件は自然なこと

そもそも人の自然死や孤独死は自然なことで、さらにこれには自殺も含まれると思います。

自殺と安楽死は厳密には違いますが、安楽死を合法化している国もあり、安楽死は状況や人によっては受け入れがたいものではないことを思い出してください。

少なくとも事故物件を取り扱う不動産会社やサービス会社は、事故物件と毎日のように対峙する業務からそのように考えているはずです。

事故物件を依頼するのに遠慮はいらない

そのため、事故物件のサービス会社の担当者は起こったことを受け入れて、過去を振り返ることなく、その時の最善の方法で対処を行います。

彼らから見れば、良い意味で訳あり物件はけっして特別なことでなく毎日の業務なので、何かを依頼したり相談したりするのに、けっして遠慮や気兼ねはいらないということです。

私のように賃貸物件の場合は、どうしてもいろいろな人と話をしなければなりませんでしたが、持ち家の方だと誰にも話したくないと思うこともあるでしょう。

できれば人に知られたくない、家を閉ざしておきたいという気持ちもわかります。

しかし、この点がハードルとなって、放置されてしまう事故物件があるとしたら大変残念なことです。

事故物件も立派な不動産なのですから。

売却した不動産の新しい価値

事故物件が売れたら、そこから事故物件には新しい大切な価値が生まれます。

そして、事故物件が売却できれば、実質的にもその時点で事故物件は事故物件ではなくなります。

きれいにリフォームを施されて、事故物件でもこれなら住みたいという方が住んだ場合は、それはもう事故物件ではなく、一つの家、一つの不動産に戻ります。

売却がすべての解決ではなくても、少なくても建物に関しては、事故物件はそこで終了します。

代わりに新しく生まれ変わった家が新しい時間を紡ぎ始めることとなるのです。

事故物件の終活

事故物件のブログを書くうち、事故物件を手放して気持ちが楽になったという方は他にもたくさんいることがわかりました。

私の場合は、やっと探しあてた叔父の本来の相続人である子どもに叔父の遺品を受け取ってもらったときが、自分の中の”事故物件”が終了したその時だったと思います。

叔父の子どもはいとこである私に会えて、とても良かったと言ってくれました。

賃貸物件は最終的にリフォームされることとなり、無事に大家さんにお返しすることができました。

 

事故物件の実物は、ずっとあり続けるものではありません。

供養は続いても事故物件を終活することは今からでもできます。

まずは”事故物件の終わり”に向かって前に進んでいきましょう。

不動産情報の参考サイト

このブログを書くにあたって、正確で信頼性の高い情報をお届けするために以下のサイトを参考にしています。

サイト名 URL
国土交通省「土地総合情報システム」 https://www.land.mlit.go.jp/webland/
不動産取引価格情報検索 https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
裁判所ホームページ https://www.courts.go.jp/index.html

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